Q:信頼できる海外IFAを選ぶ指標はありますか?
A:日本の個人投資家が海外の金融商品を購入するためには、IFA(独立系ファイナンシャル・アドバイザー)と言われる正規代理店に仲介を依頼する必要があります。
香港など海外のIFAは、金融庁から日本での営業活動を禁じられているため、日本から海外ファンドの情報を取得することが難しいのが現状です。
また、香港においては正規代理店を行うIFAは200社以上あり、良心的で誠実な業者もありますが、中にはSFC(香港証券先物委員会)のライセンスなしに営業を行う業者や詐欺的な業者も存在します。
ここでは、優良なIFA(正規代理店)の見分け方について8つのポイントについてご紹介したいと思います。
Point1 正規代理店の確認
正規代理店は、ファンド会社と直接、代理店契約(媒介契約)を締結しています。
正規代理店の確認方法は、ファンド会社に直接照会するか、IFAに確認方法を教えてもらえますので、必ず確認した方がいいでしょう。また、ファンド会社によっては、公式ホームページ上で正規代理店の照会を直接行う事が出来るケースもあります。
Point2 顧客のお金を直接扱わない
ファンドへの投資代金は、契約先のファンド会社の指定口座へ直接送金することが原則です。代理店所有の銀行口座にお金を振り込むように言われた場合は、ほぼ詐欺的な業者と思って下さい。もし取引をした後、逃げられたら取り返す方法はありませんので、顧客のお金を直接預かる業者とは取引しないように注意しなければなりません。
Point3 営業許可証(ライセンス)の有無
香港のIFAを選ぶ方法として大事なポイントは営業許可証(ライセンス)の有無です。お客様にサービスを提供するのに、少なくても2種類のライセンスが存在します。この2種類のライセンスをもたないIFAは、顧客に満足のいく運用やサポートを提供することは難しいと思われます。
香港には二つの保険代理協会があります。PIBAとCIB、2つの協会の違いはそれほど大きくありませんが、IFAはライセンスと営業許可を有して初めて、資産運用計画を策定し、保険商品の販売や勧誘が可能になります。
PIBA(香港専業保険経紀協会) (www.piba.org.hk)
CIB(香港保険顧問連合会)(www.hkcib.org)
PIBAのライセンスは10万HKDの資本と、最高責任者の業界経験と免許所持者が条件で、比較的取得が容易なため、ほとんどのIFAがこのライセンスを取得しています。このライセンスさえ保有していない無資格業者は注意が必要です。
Point4 SFC ライセンスの保有タイプと種類
SFC(香港証券先物委員会)(www.sfc.hk)が発行するライセンスには9種類あり、IFA業務には、タイプ1、タイプ4、タイプ9の「3ライセンス」を所有していることが優良IFAの一つの条件と言えます。この3ライセンスを保有するためには、3人以上の執行責任者と1千万HKDの流動資産などが必要となるなどハードルが高いため、200社以上ある香港のIFAの中でも、この3ライセンスを保有するIFAは数社しかありません。その中でも日本人スタッフを置いて対応しているIFAは、さらに限られます。
タイプ1:有価証券取引(Dealing in securities)
自由に投資商品を提供できる許可で、この許可を得るためには一定の資本力を要します。最近SFCの監査が厳しくなり、タイプ1を持っていないIFAは、MANやSuperfundなどヘッジファンドを含む単一ファンドを仲介できなくなっています。
タイプ4 :アドバイザー/投資顧問(Advising on securities)
投資のアドバイスができる認可となり、多くのIFAがこのタイプ4のみを保有しています。
タイプ9 :資産管理(Asset management)
資産管理サービスを提供できる認可です。タイプ9の営業許可があって初めて、IFAは顧客から運用一任勘定を受託でき、ファンドのスイッチングが可能となります。 一層、高度な投資経験と専門技術を要し、多くのIFAは取得することができません。
※タイプ9を保有しないIFAはファンドのスイッチング(組換え)を外注することになり、その分のコストが投資家への手数料に上乗せされるケースもあります。
※SFCライセンスの調べ方:SFCのWEBサイト(http://www.sfc.hk/web/EN/)で、IFA名の一部を入力することで、簡単に調べることができます。
Point5 リターンとリスクの説明
海外ファンドの一番の魅力は、日本では考えられない「利回り」を複利で得られることですが、一括型ファンドも積立ファンド(投資信託)も「投資」であるということを忘れてはなりません。それは高いリターンだけでなく必ずリスクがあるということです。例えば、価格変動リスク、為替リスク、カントリーリスクなどです。
投資は、リスクとリターンをうまくコントロールすることで、お金を増やしていきますので、もしお金が増えるメリットのみの説明でリスクに対しての説明や、そのリスクをコントロールする必要性について何の説明がない場合、そのIFAや代理店は敬遠した方がよいでしょう。
Point6 ポートフォリオとスイッチング
ファンドの運用を成功させるには、ポートフォリオ(ファンドの組み合わせ)が重要ですが、IFAの多くは、次の3タイプのポートフォリオで目標リターンの運用を行なっています。
ハイリターン型(成長型) :目標リターン15%
ミドルリターン型(安定型):目標リターン10%
ローリターン型(堅実型) :目標リターン 6%
問題はポートフォリオが3タイプしかありませんので、市況の良い時も悪い時も3タイプのうちいずれかで運用されてしまいます。IFAの多くは、顧客の承認なくIFAの判断によって、ファンドの売買の判断・権限などを委託して行う「一任勘定」で、運用契約を行なっています。基本はIFAのファンドマネージャーに一任するわけですから、その時の市況に合わせたポートフォリオを組んで運用することが理想と言えます。また、「出口対策」と言って、ファンドの契約後半には、ローリスクのポートフォリオに切り替えることも必要です。ですから顧客一人ひとりにフォローを行なってくれるIFAを選ぶことも重要です。
Point7 会社の実績とサポート体制
IFAや代理店のチェック項目として、取り扱いファンドや運用実績を見ることが重要です。有名ヘッジファンドや保険会社の商品を扱うには、会社の実績だけでなくコンプライアンスや顧客へのサポート体制が整っていないと取り扱いできない商品も多数あります。ファンドは長期に渡って契約することが前提ですので、特にIFAがサポート体制を持っていることが重要です。例えば、日本人スタッフによるお申込・各種変更の手続きサポートをフリーダイヤルやメールで無償フォローしてくれる体制があることや、定期レポート、オンライン口座への24時間フリーアクセスなどです。
Point8 手数料
IFAや代理店の主な収入は、ファンド会社から仲介手数料として受け取るバックマージンとファンド口座から支払う運用管理手数料(1%~1.5%)ですが、業者によっては、それ以外に顧客から年会費や運用管理手数料を直接徴収するケースもあります。
海外ファンド投資においては、手数料が高くてもなお、日本の投資商品よりは高いリターンが期待できますが、積立投資は15年~30年の長期間運用する為、わずか1%の手数料でも数百万円以上の手数料となってしまいますので、余計な手数料を必要とする業者は避けるべきです。