代表 海外投資アドバイザー 野村 元輝

著者:海外投資協会代表 野村 元輝

 

 

今回はそもそも、お金とは何なのか?と言う事と

ここ数年で話題になっている?グレートリセットの類いについて繋がりそうな話を個人的な見解で述べていこうと思いますので、長文につき恐れ入りますが、最後までお読み頂けると幸いです。

管理通貨制度とは?

まず、管理通貨制度とはなんのことでしょうか?

それは通貨の発行量を通貨当局が調節することで、物価の安定、経済成長や雇用の改善、国際収支の安定などを図る制度のことを指します。

正しくは、日本国の通貨当局は日本銀行(以下、日銀)になります。

簡単に言うと、日銀がその時の経済状況などに応じて通貨量や調整することです。

その調整は主に国債で、かつての金本位制や銀本位制に対して、国債本位制であると言われております。

国債本位制に関しては コロナやウクライナやイスラエル紛争の話をお金(特に政府支出)の面から理解することもできるかと思います。

管理通貨制度の歴史から話すと長くなるので、とりあえず第二次世界大戦後の話からメインにします。

管理通貨制度の仕組み

現在の管理通貨制度の仕組みが出来上がったのは1971年のニクソン・ショックに遡ります。

それ以前は、第二次世界大戦終了の1945年から1970年までの25年間はブレトン・ウッズ体制と呼ばれるもので、ドルが金(ゴールド)との兌換を保証するという制度でした。

さまざまな理由で世界(特に、アメリカ)がその体制を維持することが困難になり、1971年8月15日に当時のニクソン大統領がドルと金の兌換を廃止し、今の管理通貨制度となりました。

 

管理通貨制度の前の通貨体制であるブレトン・ウッズ体制は、「金本位制」(金本位制)とも呼ばれていました。

これに関しては、聞いたことがあるという方も多いのではないでしょうか?

通貨発行量が、その国が保有している金に裏付けるという制度ですね。一見すると通貨発行に根拠があるかのように感じられますが、致命的な弱点もありました。

それは、経済拡大や社会資本構築のために政府が通貨を発行する際にも、金の準備高が必要だという縛りがあったことです。

 

また、経済拡大の逆パターンの経済危機にも脆弱で、経済危機のときは失業者が増えたり企業が倒産したりします。

そのとき、政府が通貨発行をして公共事業や減税を行うという、今ではスタンダードなケインズ経済学の王道である財政政策も、金の準備高という縛りで制限がかかったからです。

 

ちなみに、第二次世界大戦前にも1929年の世界恐慌が起こりましたが、この当時も世界の国々は金本位制を採用していたため、金の準備高という縛りに苦しめられていました。

結論としては、この世界恐慌は金本位制を放棄した国から経済危機を脱したことになります。

ニクソン・ショックは、そうした弱点だらけの金本位制から脱却して、通貨発行の裏付けを金の準備高に依存させないようにしました。

通貨発行の裏付けを、金の準備高から国の政策と生産力に変えたということです。

管理通貨制度をよく理解していないと、発行している通貨はバラマキだ〜!とか、何の裏付けもない紙切れだからインフレが加速する〜!だというふうにいう人がいますが、これは大きな間違いです。

 

その国の生産力(資源や社会資本)の裏付けがあるのに、金の裏付けがないから通貨発行ができないと考えるほうが今となってはおかしいです。

また、金本位制では、金の裏付けという縛りによって自国経済が行き詰まったとき、それを打開するためには他国から資本を収奪するという形しかありませんでしたから、金本位制から管理通貨制度になることで本来なら不要な武力による侵略戦争も減るわけです。それに変わって、通貨発行によって世界を支配するという仕組みができたともいうことにもなりますが、それはさておき。

管理通貨制度の活用

そうした管理通貨制度ですが、導入された1970年代からしばらくの間はさまざまな理由から有効活用ができていませんでした。

 

一つは、テクノロジーが今ほどは発達しておらず人力による労働力も多く、通貨を発行しすぎても供給が追いつかない場合もあったことです。

もう一つは、このニクソン・ショックの頃と同時に台頭した新自由主義というケインズ経済論を否定する経済観です。

 

新自由主義は、政府が財政支出をしすぎると政府が財政破綻する、政府はできる限り民間部門に介入せず、民間に任せたほうが経済はうまく回る、という一見すると官から民へのシフトで経済が回るという考え方ですが、これはいうまでもなく資本家都合の経済観です。

 

管理通貨制度のもとでは、その仕組みを良く理解している国が覇権を握り、そうでない国は衰退していきます。

いま世界で管理通貨制度の仕組みを一番よく理解している国は、中国とアメリカです。

特に中国がぶっちぎりですが、一党独裁で意思決定が早いというのも大きいです。

逆にまるで理解していない国はというと、EUと日本です。

管理通貨制度では、その国の通貨発行の裏付けが政策と生産力に裏付けられていますから、その裏付けがある範囲内においては、通貨を発行しまくった国が強いわけです。

ここ数年では、円安の影響もあいまってインバウンド需要が復活しつつあります。

と同時に、中国や諸外国の富裕層が日本の土地など不動産を買っているという話がよくあります。

これも突き詰めると、管理通貨制度の仕組みを最大限活かして通貨発行しまくって土地を買っているので賢い選択とも言えます。

諸外国の政府ではなく、民間企業が買っているとしても民間企業の購買力を強める裏付けは政府支出ですから。

 

なので、対アメリカにしても、対中国にしても、安全保障の議論をする際には管理通貨制度も切っては切り離せないということになります。

しかしながら日本やEUがダメなのは、管理通貨制度であるにも関わらず金本位制時代の経済観が経済政策面で支配的であり、政治家やエコノミストとがそれを理解していない人が大多数です。

日本には財政法という財政均衡の経済観が法律として残っていますし、EUも加盟国の財政規律に関する縛りがあります。

特に、日本は本当に絶望的なレベルで管理通貨制度を理解していない(戦後レジームが続いていてアメリカから制限がされている影響か?)のか、政治経済論壇は恐ろしく低レベルです。

政治家の中でも、それをピカイチに理解していた安倍元総理が亡くなったのは、日本経済にとっては本当に大きな痛手であります。

 

そんな管理通貨制度ですが、通貨発行量も大事ですが、それがどんな形で使われるかも大事です。

社会資本構築とその担い手を報いる為の政府支出であればいいのですが、現実にはそうなっていない側面もあることは否めないですね。

グレートリセットして世界が再び金本位制に戻る?

コロナでは必要ないコロナ対策と称するもののために莫大な政府支出が使われましたし、ウクライナでも紛争の泥沼化のために莫大な政府支出が使われております。

また、イスラエル紛争も然りです。

グローバル資本というのは通常の営業活動のほかに、そうした管理通貨制度を巧みに利用して各国政府の政治家と結託して政府支出を引き出すことによって、大きくなっていった側面があることも見逃せません。

管理通貨制度もこのような形で悪用されるわけですが、グレートリセットして世界が再び金本位制に戻る?世界共通通貨ができるなんて話もありますが、それらを踏まえると現実的には考えにくいでしょう。金本位制の欠陥を踏まえて今の制度になっているわけですから。

とはいえ、バイデン政権になってからアメリカのプレゼンスが著しく低下しているのは事実です。

歴史的に見て、ドル一強体制が徐々に揺らいでいく可能性は少なからずあります。

 

つまりは、管理通貨制度の仕組みを理解して、それを国力向上に使うことと、グローバル資本と過度に癒着しないことが大事ではないでしょうか。

今後、世界がどう変革するかわかりませんが、今の日本や世界で一人でも多くの方が正しい貨幣感を持って、

より世の中が良くなっていくことを願います。

 

 

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