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インサイダー取引(Insider Trading)とは、非公開の重要な情報を持つ者がその情報を利用して株式や証券などの取引を行うことを指します。この非公開情報は、会社の内部情報、未発表の業績や財務データ、新製品の発表、合併や買収の計画など、一般の投資家や市場参加者には入手困難な情報です。
インサイダー取引は、不正行為とされており、多くの国や地域で法律で禁止されています。その理由は、非公開情報を持つ者が不当に利益を得ることによって市場の公正性や信頼性が損なわれ、一般の投資家に公平な機会が与えられなくなるからです。
以下にインサイダー取引の具体的な事例を示します。
インサイダー取引の具体的な事例
1.エグゼクティブの取引
企業の重役や幹部が、自社の株式を売買する際に非公開の情報を利用するケースです。例えば、CEOが未発表の業績データを知っていて、それに基づいて株式を売却する場合などがあります。
2.提携企業や取引先の情報
企業が提携や買収、契約を検討している際、その情報を知っている者が関連する株式や証券を売買するケースです。情報を持つ企業や個人が他の企業の株価に影響を与える可能性があります。
3.業績予想や新製品情報
企業が未発表の業績予想や新製品の情報を持つ者が、その情報に基づいて株式を売買するケースです。市場に情報が公表される前に利益を得ることができます。
4.法律や規制に関する情報
政府の規制策や法律の変更に関する情報を持つ者が、その情報を利用して証券取引を行うケースです。例えば、特定の業界に関する法律変更が予定されていることを知っている者が、その情報に基づいて株式を売買する場合などがあります。
これらは一部の例であり、インサイダー取引は様々な形で行われる可能性があります。
有名なインサイダー取引の判例
1.グリーンマン判決(United States v. O’Hagan、1997年)
ジョージ・オハガンという弁護士が、自身の法律事務所が代理を務める企業の買収情報を利用して株式を売買したとして告発された事件です。この判決では、インサイダー取引は詐欺行為として扱われ、未公開情報を利用して株式を売買する行為が不正とされました。
2.ラクータ判決(SEC v. Rakoff、2014年)
インサイダー取引に関与した企業幹部に対する証券取引委員会(SEC)の民事訴訟での判決です。この判決では、インサイダー情報を知っていた者がその情報を利用して株式を売買することは違法であり、厳しく取り締まられるべきであるとされました。
3.SACキャピタル判決(United States v. Martoma、2014年)
ヘッジファンドのSACキャピタル・アドバイザーズの元ファンドマネージャーであるマシュー・マートマが、医薬品の臨床試験データに基づいて株式を売買したとして告発された事件です。この判決では、インサイダー情報を利用して不当な利益を得る行為は法的に問題があるとされ、厳しい刑罰が科せられました。
これらの判例は、インサイダー取引が違法とされる一例を示していますが、地域や国によって法的な定義や取り締まりの方法は異なる場合があります。したがって、特定の地域や国の最新の判例や法律に関する情報を確認することが重要です。